清水義範「騙し絵 日本国憲法」(集英社文庫)
さて日本はどこへ行くのか。週末はいよいよ衆院選ってことで、新聞読み直さなにゃ。今回はマニフェストとやらもあるし、今の在所では初の衆院選なんでまるで選挙区のこととか分かってないし。NHKの政見放送、全然地元の当たらないんだよなー何故なんだ。
さて争点が相変わらずどこなのかよー分からんまま、ふと思い出して引っ張り出してきたのがこの「騙し絵 日本国憲法」。題名通り憲法ネタの小説ではあるんだが、そこは清水義範ってことで一筋縄じゃいかない作り。
二十一の異なるバージョンによる前文
第一章 シンボル
第二章 九条
第三章 ハロランさんと基本的人権
第四章 第五章 第六章 第七章 第八章 寄席中継
第九章 第十章 亜葡驢(アポロ)団の掟
第十一章 場つなぎ
というのが目次なんだが、前文は「カナの印象」「わたくしたちの憲法です」ときて、次が「いわゆるひとつのジャパニーズ憲法ですか」。長嶋茂雄調の前文なんだが、清水読みには定番ネタなんでタイトルを見た瞬間にニヤリですよ。定番といえば名古屋弁に「憲法五人男」に「憲ポーズ・ウェイク」にサイバラ(!)に「ソクラテスの証明」とちゃんと押さえてます。あーでも「折々のうた」という見出しを見ただけで笑えちゃうんだから楽しい。いや本文もちゃんと楽しいんですが。
第一章も清水作品定番の家族の風景、第二章は「金鯱の夢」(集英社文庫)最終章と同じ上下二段、ハロランさんはSF短編集「黄昏のカーニバル」(講談社文庫)所収作にも出てくる謎の人、と清水読みにはおなじみの手法を取り混ぜつつ進み、寄席中継は元ネタが分からなくても充分面白いんだが……問題が「亜葡驢団の掟」。「九条」も恐いが、これは本当に恐い。さんざん背筋に冷たいものを感じさせといて、最後の「蛇足的おまけ」には、果たして笑っていいのかいけないのか真剣に悩んでしまうという。そっか、日本国憲法にはこんなこと書いてあったんだったっけか、と。ま、これはあくまで小説なんで、憲法をどう考えるかは読者に任されているんだけど、選挙の時くらいちゃんと考えてみないとなーと思った次第。
こんな本持ち出したから知恵熱、ではなくて、何かうにょーんな体調だからと言うのが先。やらにゃならんこと後回しですまんです。
騙し絵日本国憲法(集英社文庫) 清水義範著 |
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