カラシニコフ~11歳の少女兵
朝日新聞の連載「カラシニコフ 銃・国家・ひとびと」の「11歳の少女兵」は昨日終了。本日からは「設計者は語る」で、こちらも興味深い所だが、とりあえず先の分について少々。
1947年式カラシニコフ自動小銃・AK47。世界中に1億丁近くあると推測されるこの銃は、植民地解放闘争の主役から、それらの国家を崩壊させる「小さな大量破壊兵器」となった。シエラレオネの19歳の少女ファトマタが4.3kgのAK47を手にしたのは11歳の時。彼女はこの銃で三人の人間を殺すことになり、そして内戦が終わってもなお苦しみの只中にある。
1/25のNスペ「63億人の地図」でも登場したシエラレオネ。この連載は文字であるだけに、映像では取り上げ辛いと思われる惨禍にまで触れられている。NHKにしろ朝日新聞にしろ、そこで描かれているものが全て正しいとは思わないけれど、ファトマタの「私のような例はいくらでもある。それから目をそらさないで」という言葉は真相を示しているのだと思える。スリランカにしろ、およそ内戦で荒れている国には同じ問題があると見ていいだろう。子どもを兵士にするのは大人を使うよりずっと簡単だからだ。そして少女にはもう一つの役目が課されることになる。
残念ながらasahi.comには掲載されていないので、連載時の見出しを並べてみる。
「3人殺した」消えぬ記憶/腹がすくと村を襲った/ダイヤ巡る私欲の内戦/手入れ雑でも故障なし/襲撃前「マリファナ茶」/2度の拉致 家族も崩壊/「赤い肉」みんなが食べた/国を壊した「手首切り」/製造刻印ないまま流入/「人を殺せる層」が拡大/弟と再会、一日中泣いた/1日30円でダイヤ掘り/復学、妊娠、また休学…(1/12-1/26・13回)
NHK「映像の世紀」でも大量殺戮が容易になっていく様子は描かれていたが、それでもここまで兵士が低年齢化したのはAK47という扱いやすい兵器によるところが大きい、というのが連載の大筋。松戸のバンダイミュージアムでのザクマシンガンの試射で、たかがBB弾なのにその振動に無限と思える20秒間を過ごし、銃を持つ人生でなくて良かったと思ってしまったような自分にはファトマタは遠すぎるけれど、目をそらすことはとても出来そうになく。彼女がほのかに見る夢が、実現して欲しいと祈るばかり。
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コメント
なんで人は同じ人どうしを殺し合うのでしょうか?
投稿: 梨々 | 2007.11.16 10:06
>梨々さん
それは、それが人というものだからなのでしょう。
生存競争以外の理由で他者の命を奪えるのは多分人間だけではないのかと。
何故そんなことができるのかは「あなた自身が確かめて」というと機動新世紀ガンダムX第十七話そのままになりますけれどもね。
投稿: しののめ | 2007.11.17 16:48