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2004.05.25

Nスペ「足尾銅山 よみがえる森」

 50年におよぶ緑化の記録映像、そして足尾の山の四季を追いながらその現状を綴る映像が織り交ぜられ、見応えのある作り。緑化に関してはプロジェクトXでも何度か扱われているが、プロジェクトXが「ドラマ」であるのに対し、Nスペは「ドキュメンタリー」なのだなと。再放送は5/25(火)2415~。

 日本の公害の原点と言われる足尾銅山。明治以来、渡良瀬川流域の鉱毒でよく知られるが、銅の精錬所からの排煙に含まれる亜硫酸ガスによる煙害で、風下にあたる中禅寺湖裏側の山はハゲ山になってしまっていた。煙害により木々は枯死し、保水力を失った土は流され、見るも痛々しい岩肌をさらすばかりの不毛の山。50年ほど前から緑化が試みられ、世界に例を見ないほどの回復を見せている。

 1670haもの緑化対象地域のうち、林と呼べるほどに回復したのが4割、草地が1割、残りの5割は未だ岩肌が露出したままとなっている。この部分は傾斜が40度を越え、人を阻む。ヘリコプターによる緑化も試みられたが、なかなかうまくはいかないようだ。

 緑化は地元の主婦を中心に実際の作業が行われ、試行錯誤の末、麻袋に土と草の種などを入れたものを敷き詰め、鉄釘で固定するという方法で、雨に流されずに草が根を張る環境を作り上げた。その後、落葉による涵養力を期待された広葉樹が植えられ、図らずもそれらの木々がつけた実が動物たちを招き寄せた。

 だが、足尾の木々は人が植えたものであるだけに元の植生とは違う。足尾に姿を見せるようになったツキノワグマは冬眠前にドングリを食べるために離れた山にまで足を運ぶ。また、本来の土が流されているため、動物たちは精錬所近くの廃屋にまで下りてきて生きるのに必要なミネラルを補給しなくてはならない。足尾には、まだ足りないものがある。今木々を育てる土は厚さ数cm。本来の足尾の植生であるミズナラの大木を養うには、1mもの厚さの土が必要だ。ここまでくるのに50年。ミズナラの森を回復させるには、気の遠くなるような時間と自然の営み、そして人の力が必要なのだろう。

 足尾の緑を蝕んだのは、四日市で人々を苦しめたのと同じ亜硫酸ガスだった。緑も人も同じくかけがえのないものだ。失うは易く、取り戻すは難し。白黒写真に重なる見事な緑に、改めてそのことを思い知らされた。


たりーず・ふぁいる: NHK特集 足尾銅山 よみがえる森

足尾の緑化事業について全く触れていなかった中学・高校の教科書は何だったんだろうとか思ってしまいます。

 四日市市立の小・中学校に通った自分でも足尾の緑化事業を学んだ記憶がありません。公害原点の地に学ぶべきことはたくさんあるはずなのにと思いつつ、地元の話で手一杯だったのが実際の所かとも。それでも今回のNスペで見られて良かったです。

NHKスペシャル公式
足尾銅山跡地:植林活動で緑戻った 栃木・足尾(毎日新聞)
足尾に緑を育てる会

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