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2005.05.08

Nスペ「東京大空襲 60年目の被災地図」

 3/6放送のNHKスペシャルは「東京大空襲 60年目の被災地図」。住所と死亡した場所を結んだ地図が作成された。移動の矢印が集まる場所は、そこで多くの人が亡くなったことを示す。何故人々はそこを目指したのか、そしてそこで人々はどう死んでいったのか。生き延びた人々の証言と絵から、その夜を再現する。残念ながらこの被災地図の公開は4/10にて終了。

 丁度1年前にNHKアーカイブスで見た「東京大空襲」(1978年)とつい比較してしまって点が少々辛くはなった。製作時期の違いがあるので仕方ないとは思うが、その時とはまた違った悲劇の生々しさが今も失われずにいることが示されていて、これはこれで良かったと思う。

 アメリカの焼夷弾の実験の記録映像(実際に木造家屋を建てて延焼実験をしたもの)は、勝つためにはここまでやって当然だよなと思うし、実際の空襲の報告書やB29のパイロットの証言からは、あまりに大規模な空襲が「計画」を超えて被害を拡大させたことが分かる。件の司令官に関するコメントには絶句したが、戦争とはそんなものだと思うしかないのか。

 鉄筋校舎の学校を避難時の家族の集合場所にしていたものの、炎はガラス窓を破って入り込み、校舎は炎上する。プールに逃れた人々の頭上をなめていく炎の舌。人々の足元にはプールの底に沈む人々。兄はプールに飛び込み焼死を免れたものの、妹はそのプールの底で死んでいるのが見つかった。「後悔していますか」ってそんなこと訊くなよ取材クルー。後悔なんて言葉で言い尽くせるものではないことくらい想像できるだろうに。

 燃え盛る下町から逃れようにも川が行く手を阻む。橋の上に密集した人々の上を火炎が走り抜ける。炎がなくともこの群集では橋の際まで押されてしまう人もいただろうに、火達磨になりながら橋から落ちる人が居る。その下の川もまた、地獄だった。

 生まれたばかりの娘を背負い、冷たい川の中、ようやく大八車に辿り着き眠り込む。夫は大八車に乗る余裕がなく、川の中じっと立ち尽くすのを見たのが最後になった。そして守ったはずの娘は息を引き取り、娘のおかげで背中が濡れなかったために生き延びた母は、戦後孤児の世話をし続ける。

 空襲の対象域の外縁部の病院から患者を連れて、亀戸駅を目指して逃げた看護婦。火の手と人波に行く手を阻まれ、どうせなら病院で死のうと戻ると、既に病院は焼け落ちていた。しかし重篤患者と行動を共にした看護婦らは帰ってこなかった。

 彼女が目指した亀戸駅付近に出来た焼死体の山。防火帯に設けられたいくつもの防空壕の蓋を燃やしていく炎。一夜明けて、川面に浮かぶ無数の死体。その中にはしっかりと紐で結ばれた母子。録画した訳でもないのに、それらの絵が脳裏に焼きついて離れない。

 戦後60年目とあって、東京大空襲を題材としたアニメ映画も相次いで製作されたというニュースも3/10前後にあり。そのうちの一つ「ガラスのうさぎ」は小学生の頃に読んだが、ふと読み直したくなった。母と妹を空襲で失った後、父が機銃掃射で殺されて一人になってしまった主人公が引き取られた先で苦労するというあたりの話が印象的で。生き延びる辛さ、というものを初めて意識した作品。

 NHKに話を戻して月曜ドラマシリーズ最終作の「ハチロー 母の詩 父の詩」の最終回でも東京大空襲が描かれたが、焼夷弾の落ち方が、先の記録映像を思い起こさせて妙にリアルだった。「家族のために深川に家を用意した。末の子が中学受験で……」とか言われたらそれはもう駄目じゃないか。

 余談ながらこの「ハチロー」、原作の「血脈」はまだまだ先があるというあたりで終わっていることもあって、ちょっと尻切れっぽいラストで何で突然「リンゴの唄」なんだよという感じではあったけど、中々面白かった。再放送あったら見たいなと。掲示板を見ると「新選組!」が好きな人ならOK、みたいな意見があって、何か分かる気がする。破天荒というかハチャメチャというか、とにかくもう滅茶苦茶としか言いようがない。なのに、ずどんと重い。それが面白いんだけど。原作も読みたいもののあんな長いのいつになったら読めるのか。それにしても劇中の歌はサトウハチローの歌だと知らずにいたものばかり。

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