沖縄慰霊の日
60回目の慰霊の日。昨年のような事件があったという訳でもない……と書いていたのに、自衛隊が派遣されているサマワで一件起きたらしいが、それでも彼の地にはまたこの日がやってきた。節目の年とあり、19日に硫黄島戦没者追悼式が行われたばかりだが、やはり祈りの夏はこの日から始まるように思える。
60年といえば、終戦の年に生まれた人が還暦を迎える年だ。あの戦争を覚えている人は少なくなり、戦争を知らない世代が増えていく。先日読んだ新聞記事では、広島でさえ、原爆を投下された日を正しく答えられない子供が増えているのだという。日本本土を守るための捨石とされた沖縄で、組織戦が終わったとされるこの日は、それ以上に知られていないのではないだろうか。そして、この日以後も、8/15の終戦の日を過ぎても沖縄では9/7まで地上戦が続き、60年経った今もなお米軍基地が存在し続けることで、ある意味戦争が終わらないままでいるということも。記憶にまだ新しい米軍ヘリ墜落現場を、小泉首相は訪れたのだろうか。
本日付の朝日新聞朝刊での沖縄の特集記事では、戦争を語り継ぐ人が居る一方で、口にできないままの人が居ることが書かれている。口にするには余りにも過酷な体験をされたのだろう。であればこそ、語ってくれる人々から目をそらす訳にはいかないのだ。そういう人々の話を退屈だ、と書ける人の気持ちが正直理解できないのだけれど、語れる言葉を持つ人は語ることを止めないで欲しい。
また、沖縄で傷ついたのは攻め込んだ米軍の兵士も同様だとの指摘もある。確かに戦争というのはどちらが悪いと決められるものではない。とはいえ、先頃の戦勝国だけが云々とかいう政治家の発言はさすがにどうなのよとも思うのだけれど。靖国問題に関しては、6/22付けでの堺屋太一氏とか、6/23付けでの城山三郎氏の意見が自分には分かりやすかったのだけれど、小泉首相には公人としての行動の意味というものをもっと考えて欲しいと思う。
録画しておいた、6/18のNHKスペシャル「沖縄 よみがえる戦場 ~読谷村民2500人が語る地上戦~」を見る。14年掛けられてまとめられた読谷村村史の記録。米軍上陸の翌日に集団自決が行われたチビチリガマで、本島北部やんばるの密林での逃避行で、そして米軍捕虜となっていた住民を日本兵が襲撃した浜辺で何が起こったのか。重い口を開いてくれた人々の証言が綴られる。
米軍に殺されるくらいなら母さんの手で殺してという娘、次々に死んでいく人々を羨ましいと思う若き母。戦時下の教育による狂気が島を支配していた。しかしその母は外で死のうと煙の充満するガマを出て、生き長らえることになる。だが、はぐれた息子は死に、その後その存在すら隠して生きてきた。当時の彼女の年齢の母となった孫が話を聞いて「おばあ、生きてて良かったよね」と言うのに笑顔を見せる。60年経って豊かになった世界を見せてあげたいとも。そうまで言える人の強さ。
スパイ疑惑を掛けられ、調査もなく突然「友軍」に襲われた住民。惨殺された父と、それを見て精神を病み死んだ母の代わりに妹を育てた兄。妹が成人して初めてその時のことを話し、ほどなく自身も精神を病み、40年を過ぎた今も入院生活を送る。同じ現場に居た女性が彼女のことを覚えていた。60年経っての再会に、二人は沖縄の言葉で話し出す。胸のうちにあった言葉を出せた彼女は、あの浜辺を訪れ、父に呼びかける。そこには、4歳の少女が居た。
生き延びた人々にとって、戦争は過去のものであり、今に続く傷なのだ。ほんの、昨日か一昨日のことだと。60年という月日は長いようでいても、傷を癒せるものでもないのだ。なのに、あの南の島の美しい空と海に囲まれて、笑う人々が居る。6/22に見ていた、課外授業 ようこそ先輩「世界に広がれ!笑顔の力」での、戦争の最中の人々ほど戦争を厭い、そしてそれでも笑顔で生きていこうとするのだという話を思い出す。
朝日新聞朝刊連載の「伝言 沖縄から」6/19付け、集団死(集団「自決」は軍人の行為としてこの記事ではこう書かれた)で家族を手に掛けた人の話の最後にはこうある。
渡嘉敷村が93年に建てた記念碑に「祖国の勝利を信じ、笑って死のうと悲壮な決意をした」とあった。「事実と全く違う。誰が笑って死ぬものですか」
笑うのは生きるためだ。生きようとする力のためだ。自然に笑える日々は平和であってこそのものだ。その幸せを思えば、今は亡き人々のために祈らないではいられない。
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