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2006.03.10

Ζヒストリカ11巻。

 Ζガンダムヒストリカ11巻、昨年末に発売されておりましたがご紹介遅れてすみません(寝かせてる間に12巻発売されてしまいました)。10巻に続き、今回も一読者のつもりでの感想というかご紹介など。あくまで私的なコメントなので公式見解というものでもありませんのでその点よしなに。11巻はTV版の完結編となりますので、劇場版第3部を見てから見比べてみるのも一興かと。TV版を総括するだけあって、密度が凄いことになってますよ。

●宇宙を駆ける~散る命、叫ぶ魂~
 ジ・Oと対峙するΖ、あと何気に百式が左上の方に居たりします。あの最終決戦でのイメージが強いので、ちょっとΖが脱力して見えちゃうかなぁというのはあるんですが、ジ・Oの背中、コントラストが効いてて良い感じだと思います。表紙とは違う角度から意表をついた構図かと。
 で、巻頭言。凄く楽しみにしてたんですが、読み終えてやはり胸が詰まります。あーこれがΖなんだって感じ。02巻からずっと綴られてきた想い、繰り返されてきた言葉がこうして結実して、そして英文タイトルと本文の両方で新訳にもちゃんと繋がってる。こういう文章が読めてほんと良かった。是非是非、02巻から読み返してみてください。

●Drama & Karma #46-50 カミーユ・ビダンはなぜ崩壊したのか?
 こちらも、絵の使い方が02巻と対照的なエピガイ完結編。何かもうこの見開きの絵を見てるだけで狂気が満ちてます。TV版のドラマを締めくくるカミーユの崩壊の要因を2つに分けて解説しているのですが、ややもすれば冒頭にあるシロッコが云々で済まされてしまうことが多い中、そうじゃないんだよと改めてまとめてもらえたのがありがたいところ。02巻の星々カミーユ編ではちょっとここまでじっくりとは書けなかったもので。
 人物相関図は最後の最後にクワトロとカミーユの間に矢印がないのがちと残念(^^; 一方キャラ移動図は見事にばたばたお亡くなりというのが……合掌。
 エピガイは今読むと劇場版第3部との違いが際立ってきます。#47の「秘密の花園」というのが好きだなぁ(^^) 09巻の星々ハマーン編の打ち合わせをしてて「鍵つきの秘密の日記帳をカミーユに読まれたようなもんでしょ? そりゃハマーンも怒るわ」「しかも読んで欲しかったシャアは鍵開けて置いてるのに読んでくれないし」とか話してたの思い出しました。

◎コラム現実認知 Realizing "Ζ" エピガイ編
 佐藤賢二さんの「グリプス戦役の果てと『万人の万人に対する闘争』の時代」。エピガイコラムの「『グリプス戦役』とは何だったのか?」と合わせての総括になってます。ほんっと「現実認知」って伊達じゃないんだなぁ。

 という訳でおなじみの、電氣アジール日録 - さらば機動戦士Zガンダム(←「まだだ、まだ終わらんよ!」) をご紹介しておきます。

●赤い彗星の軌跡 第9回「『情』と『理』、人間シャア・アズナブル」
 「まだだ、まだ終わらんよ」と言いつつ最終回。もう一人のシャア・アズナブルというシロッコとの対比が面白いと思います。こちらをお読みの上で星々の群像シロッコ編をどうぞ。あとここでカミーユがアムロと対比されているのもちぇき。この見方も確かにアリですよね。

●モビルスーツ開発誌 最終兵器ジ・OとジュピトリスのMS
 蛍光灯の根元の暗いところにジ・O。ラスボスの魅力です。何か今回はCGが写真みたいで写真がCGみたいに見えるのが面白かったり。隠し腕の図とかもいいですねー。「思うがままに動くモビルスーツ」としてのバイオセンサーの話がでまくりの一方、「THE-O=神の意思」という話が出てないのがちと残念。
 戦略戦術は木星往還船とジュピトリス系マシンについて。個性的過ぎる機体ばかりなのは何故? というあたりが分かるかと。

◎コラム現実認知 Realizing "Ζ" メカ編
 永瀬唯さんの「『未来』というパンドラの希望はまだあるか?」。いかにも(TV版)Ζらしいものになったと思います。Ζ本放送中の1986年1月28日のチャレンジャー爆発事故というのも衝撃でしたが、あれから20年経って何が進歩したんだろうかと思うと……。とりあえず日本のロケットも何とか飛ぶようになってきたけど、衛星がちゃんと機能するまで安心できんし。あ、迷子のはやぶさ、ちゃんとおうちに帰ってきているようですね。よかった。

●グリプス戦役戦跡探訪 メールシュトローム作戦
 印象的な名前のついたこの作戦、グリプス2の漂流と最期を描いた2枚の図が素晴らしいです。これ読み解いてるだけでうわーっ! となりますよ。是非是非、その軌道を追ってみてください。文章の方も、こちらも総括だけあって、あの混戦をきっちりまとめられてます。

●星々の群像 パプテマス・シロッコ/世俗を捨てたマキャベリスト
 満を持して登場、エピガイ担当の奈落一騎さんの本論によるシロッコ編です。頭のリングがなくて髪を下ろしてるシロッコというのは珍しいですよね。この作画指示に乾杯。何かシロッコというより、銀英伝とかにこんなひといなかったっけ、みたいに思ってしまいましたが(^^; で、本論はシロッコというとらえどころのない男を見事に紐解いてみせているかと。シャアに負けた原因の分析は先の「赤い彗星の軌跡」と合わせてどうぞ。

 コラムは木星帰りと泡沫関係者が佐藤賢二さん、自分はネーミングの由来と「むつみあい宇宙」の担当です。名前コラムがあるのは、星々でも単独で扱うカミーユとハマーンとシロッコだけ。
 名前の由来の方は、シロッコというのは砂漠の風として知られるけど、この「Scirocco」という綴りはイタリア語なんだよな。だからイタリアに吹く風じゃないと。と思って調べ始めて、で、学生の頃に凄い引力を感じて買っておいた、ライアル・ワトソン「風の博物誌」(河出書房新社1985 木幡和枝/訳)という本を出してきて、調べてみたら面白いのなんの。──以後は本誌をどうぞ。
 で、この本に「ヴェニスに死す」の引用があって、そっちを調べたら更に面白すぎてちょっとした祭りでした。シロッコの吹くヴェニスの街で、老いた芸術家が出逢った美少年。死に満ちたその街に、生きるために帰っていく老人って……すみません不勉強で「ヴェニスに死す」がそういう話とは知らなかったんです。もうシロッコの名前のルーツはこの「ヴェニスに死す」としか思えません。んで、カミーユが美少年でなくてはならん一因もこの作品ではないのかと(^^;

ルキノ・ヴィスコンティ「ベニスに死す」 ビョルン・アンドレセンの美少年っぷりに言葉もありません。

4003243412ヴェニスに死す
トオマス マン Thomas Mann 実吉 捷郎
岩波書店 2000-05

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B000B63CQMベニスに死す
ダーク・ボガード トーマス・マン ルキノ・ヴィスコンティ
ワーナー・ホーム・ビデオ 2005-09-30

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 あと余談ながらシロッコというとルピシアのお茶も。でもこっちは英語綴り。今飲んでます。

 で、「『Ζ』カップル接触記──恋人たちの“むつみあい宇宙”」は、02巻カミーユ編での「なぐりあい宇宙」と対になってます。劇場版第2部「恋人たち」以前にTV版からいちゃこきまくりなんですよΖって。

◎みんなのシロッコ糾弾クロストーク
 ついに「糾弾」ですよ(^^; 今回はシロッコがお題なんで女性3人で回してます。安倍川モチコさんが「ヒモ男」、堀越英美さんが「ちょいワル男」ときて、自分が「結婚詐欺師」。もう皆言いたい放題で、お二方のに頷きつつ大笑いしながら読んでました。「ホストには向いてるかも」「モビルスーツを着こなす男」サイコー。トロッコでシロッコってSDガンダムであったなぁ、とか。そこへ行くと自分のはプチ本論みたいになってるんですが、だって本論で何故カミーユに負けたのか出てこないから。

●島田敏インタビュー
 という訳で島田さんのご登場。島田さんってルークとかの二の線も素敵なんですけど、個人的には「宇宙船サジタリウス」のトッピー最強。んで「しましまとらのしまじろう」のドットあんちゃん萌え(弟のカラクサは飛田展男さん)。──なんですが、シロッコというのはほんと特異な役だし、こうやって語っていただくのも珍しい機会だったかと……って寝かせてる間にΖガンダムエースNo.003でもロングインタビューありましたが。で、この2本で、例の「賢くて悪いか!」が、TV版では飛田さんの言い間違い採用、20年経って劇場版では(台本は「賢くて悪いか!」となっているんだけど)本来の「賢しくて悪いか!」に飛田さんが直したという話が伺えて良かったですよって飛田さんの話になっとるやん。シロッコなりの正義というのは確かにその通りですよね。んで下に抜き出してる「燦然」という文字列はシャンゼリオン好きの目を引いてしまいます。

◎コラム現実認知 Realizing "Ζ" キャラ編
 宇野常寛さんの「シロッコの敗北と『自意識』から逃げ切れなかった『ニューアカ』」。えぇえぇもうほんと逐一書かれてる通りでございますです、はい。という現実認知っぷりが凄い。えぇいTV版Ζは化け物か!

◎Ζゲームクロニクル スーパーロボット大戦α(PS)
 こちらも満を持して登場のスパロボ。しかもオチまで最終回ネタというのがさすがのお手並みでございました。勿論普通はカミーユ崩壊回避フラグを立てるんですけど、そうすると得てしてフォウが生き残ってたりしてファとの三角関係になることが多いんですよね(^^;

●Sign of "Ζ" ゼータという名の時代 SPECIAL 設定ベース・永瀬唯インタビュー
 コラム現実認知でおなじみの永瀬唯さんをお迎えしてのロングインタビュー。こちらも先の、電氣アジール日録 に裏話があるのでどうぞです。冒頭のΖ参加の経緯は「そうだったんですか?」と素で驚きました。当時ニュータイプ誌の連載の愛読者だった自分には、当時の話から昔話、そして今のお話まで、ほんと面白かったです。

4048531557宇宙世紀科学読本―スペース・コロニーとガンダムのできるまで
永瀬 唯
角川書店 2001-05

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4063720411Z BIBLE「機動戦士Zガンダム-星を継ぐ者」完全ドキュメント
藤津 亮太 氷川 竜介
講談社 2005-06

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●Sign of "Ζ" EXTRA 第6回 「アニメの青春」の終わりに『Ζ』が築いた混迷の時代の「礎」
 『Z BIBLE』でおなじみの藤津亮太さんによる、Ζを取り巻いた1985年以降のアニメシーンの総括。『Z BIBLE』も良かったんですけど、また違った切り口でまとめていただいて、こちらも読み応えのある内容になっていると思います。あーそっか、それはそういう意味だったのかと、これも一つの現実認知ですね。ってこればっかりですがテーマがそうなんだから。
 因みにOUT85年9月号とアニメック85年8月号は自分の私物です。ほんとお世話になりました。

●「新訳」への架け橋 第9回 終局にみる、散る生命たちの性の本質
 富野由悠季監督インタビューもシロッコ特集。シロッコ→レコアときて、やはり最後は男と女の話に落ち着きます。終盤の「死ぬことを前提として結婚する」という話を伺って思い出したのは、池田貴族さんのこと。アニメは所詮絵空事なんだけど、でも血の通った男と女が描かれている。そう思えるのが富野作品だと思います。

●表3
 Ζヒストリカのバックナンバー紹介の地がこの巻だけ赤なんですよね。

●裏表紙
 4号連続で、SDガンダムガシャポンウォーズの広告。同じ商品で4号続いたのも初めてですが、毎回違ってて良かったですね。

●で、次は12巻。
 いよいよΖヒストリカの最終巻となります12巻。06/03/04公開の「星の鼓動は愛」に合わせた劇場版3号ということで、06/03/10(金)発売となります。何度か書きましたけれど、飛田展男さんと新井里美さんのインタビューもありますのでどぞお楽しみに。ほんと写真が素敵なんでファンは必見ですよー(^^) って、寝かせてる間にココログまで寝込んでしまってもう発売日なんですが。寝言やカミラボでのamazonへのリンクにてお求めくださった方も含め、皆様どうもありがとうございました。最後の1冊、どうぞよろしくお願いします。

■Ζヒストリカレビュー:000102030405060708091012

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カミラボ:機動戦士Ζガンダム

4063671933Official File Magazine ZGUNDAM HISTORICA Vol.11
講談社
講談社 2005-12-22

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4063671941Official File Magazine ZGUNDAM HISTORICA Vol.12
講談社
講談社 2006-02-24

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