« ゼーガペイン#26 十凍家の謎 | トップページ | 浅沼晋太郎さんすぺしゃる »

2006.10.15

DTエイトロン#25-26@AT-X

 AT-XのDTエイトロン、#25「セブン デイズ」、#26「ヘブンズ フレンズ」。これにて完結。おそらくしばらくして再放送あるかと思います。

 ゼーガペインがハッピーエンドすぎる。もうちょっと暗いラストの方が良かったのにとか思ってしまった人に、このDTエイトロンをお勧めしてみたり。その結末に賛否両論の世紀末SFであるDTエイトロンも、ラストシーンの海は光輝いてますけどね! 最終回はほんと鳥肌立ちっぱなしですよ。

 #25「セブン デイズ」。世界が終わる日までの、最後の7日間。
 子宮の映像から始まる印象的なOPに使われていない部分の歌詞に、この展開はしっかり歌いこまれているとも読める。

Dragon Ash「陽はまたのぼりくりかえす」(フジテレビ公式)

父への尊敬母への敬意あやまちを繰り返さないための努力
持続するたび消費してく余力たえきれなくなるものは脱落
Hang in there hang around 踏みとどまってなんとか持ちこたえ答え探して
やがてくる死をただ待つより少しでも夢をかなえるためにみんな四苦八苦

 18項目の作業を放棄し、単に宇宙に出て100年間軌道を回れるだけのパイルが7日間で完成する可能性は74%。
 子供達をデータ化すればすぐに皆乗れるというDr.ジェネシスに、シュウは異を唱える。データ化してまでパイルで宇宙に出る必要はない、宇宙航行用のシステムを排除して皆でそのまま「方舟」に乗ろうと。#18「ドクター ジェネシス」で、自らをデータ化したゼロが肉体を欲するのを「データのままでいるって、悲しいことなんだね」と理解したシュウ。そして今、完全なるDTを持つエイトロンの意思が、エイトロンが取り込んだゼロの実体化を阻み続けている目の前の現実を見て、シュウはデータ化して生き延びることを拒んだのだ。そうと決まれば有言実行、率先して作業に掛かるシュウの男らしさ。戸惑う子供達に「自分で決めるのよ、自分で考えて」と問い掛けるメイの声の力強さ。
 かつて一緒に脱走を試みた少年の「外はどうだった」という問いに、「色んなことがあった」とだけ答え、作業に戻るシュウ。それはいかにもシュウらしくて、でも、データニアに居た頃のシュウからはずっと成長していて。ゼロの「地球を捨てて、宇宙へ旅立つ」という言葉を何か嫌だと思ったのだというシュウに、メイはそれは「男の意地」なのだと言う。出会った頃のメイに「こういう時、男はどうするか知ってる? 女を守るのよ」と言われていたシュウは、男としてすべきことを自分で考えて行動できるようになったのだ。少年の成長を描くジュブナイルとしてのDTエイトロンの面目躍如。

 #26「ヘブンズ フレンズ」(最終回)の予告。えっフィア? 何このハッピーエンド? こんなのあり? と視聴者を戸惑わせた予告編。しかしこれはDTエイトロン。希望もしっかり描くが、切り捨てられるものもきっちり描く物語。

 そして#26本編。シュウとの再会はフィアの夢。予告編では入っていたシュウの漏らす声は入っていない。輝く海を背景に半分透けて見えるシュウと向き合うフィアを起こす声。そしてアバンから「MOTHER」のBGMで泣かせる展開。アモーロートから歩いてきたジュディ達と出会うガントリーのフィア。そしてデータニアでは、ガフも子供達も皆で生き延びるために協力し合っている。シュウとユウヤがようやく果たせた再会。

 無意味そのものだ。ナインツの口癖を口にするベルクを助けるアイン。自分達のしていることの意味を問われても「あんまり考えたことはないけど、意味はあるのさ」と答えるこのアインのお人よしが良い。だがゼロが全てをぶち壊そうとする。パイルのハッチを都市ごと破壊するための対消滅炉が動かないのだ。そして「皆のためだよ、違うの」というシュウの言葉に、行動を起こすベルク。だが通常水素がなくて再稼動しない! そのとき水素結合で出来ているエイトロンが対消滅炉に向かう。ゼロのデータごと自滅しようというのだ。そのデータが消える前に、エイトロンの口が開く。「今エイトロンが何か言ったんだ!」「さようならよ!」あー(i_i) 好きだったよエイトロン。さよなら、そしてありがとう。データの妖精。

 しかし、皆の努力を嘲笑うような災厄が最後になって彼らの頭上に降りかかる。
 アームがパイルに引っ掛かていて、このままでは洪水が来ればパイルに穴が開くのだ。
 最後の瞬間まで諦めないシュウ達。「俺達はしつこいんだ、一度決めたことは、最後までやるぜ!」「あたしも行く!」というロッソとスァンも付き合いが良い。

「パイルにあるデータが海に流れ出ても、僕達のDTがあれば……一つ足りないかも知れないけど」「その確率は0.007%だ」「地球はまた生き返るんですね!」 ──その答えを出したシュウの顔の輝くこと!

 そして無情にもやってくるその時。BGMの「ONE OF THE FEW」の軽やかで希望に満ちた音が、いつものように優しく物語の幕を引く。この曲が掛かると本編終了だと刷り込まれているから、視聴者も覚悟を決めざるを得ない。
「またいつか、会えると良いね!」「うん!」
 全ては、途方もない巨大津波に飲み込まれていく。

 このオチに関しては、本放送当時から評価が分かれた。
 納得いかないという人と、いやこれで良いじゃないかという人と。

 自分は後者。シュウ達があそこまで頑張ったのにあのオチはないでしょという人の気持ちも分からなくはない。この絶望的な展開で、一つ一つ難問をクリアして、なのに最後になって「アームが引っ掛かっとる」って何よーーーーーっ!!(i_i) とは自分も思った。本放送で見ていて、余りにも愕然として頭を抱えた覚えがある。でも、この結末を恐れずに真正面から描ききった様が、やはりDTエイトロンはSFなのだと思えて、これはこれで良いと思ったのだ。静かな海原に一人フィアが立ち、光を前にしてシュウの名を呟くあのラストシーンは、何度見ても鳥肌が立つ。

 この展開でシュウ達が救われてしまったらそれこそご都合主義だと思っただろう。パイルにレーザーハンガーを使って詰め込めるだけ子供達と食料とを積み込んで、あそこでアームが引っ掛かっていなかったとしても、死を待つ時間がいくらか延びたに過ぎないという残酷な予想は可能だ。だったらいっそ一思いに、思いのたけを告げて笑顔を見せ合ってそれが最後という方が却って酷くないとも言える。
 データニアのシュウ達だけではない。アモーロートを脱したジュディ達にしても、フィアを送り出してくれたガントリーの人達にしても、皆同じように洪水に飲まれたのだ。彼らが最後まで何かをし続けたように、フォッグアイランドの人達もスァンのことを思い続けただろうし、ナル達も最後の瞬間まで歌っていたのだろう。そういう生き様を描いた物語なのだ。その様は皆誇りに満ちていて、凛々しいばかり。水棲人は……本放送当時から「洪水対策で改造してるんだから生きてる」「いやあんな津波が来たら無理だろ」と意見が分かれていたか。

 このラストを「努力しても報われませんでした」と見るか。それとも「努力して、自分達の望んだ結果は得られなかったけれど、でも希望は確かにそこにあるのだ」と見るか。現実世界に目を向ければ、そこは後者の世界であるとも言える。望みどおりの結果が得られなくても、努力は未来に繋がるものなのだ。0.007%という可能性。ゼロの世界を否定したシュウの未来は、その限りなくゼロに近いかもしれないがゼロではない数字が示す世界にしっかり生きている。

 光差す海に跳ねるイルカ。それはシュウが夢に見た海だ。何の因果かDTを持たないフィアが一人、その光景を見て「……シュウ」と呟く。フィアだってそう長くはないだろう。でも彼女は確かに、シュウの夢見た未来を見届けたのだ。それでいいじゃないか。シュウが望んだとおり、いつか地球は甦るのだと。その希望のある清々しいラストだと思えて、自分は好き。シュウは最後まで諦めなかったことに、納得しているのだしね。だからこその、あの最後の笑顔。それが見られれば、それでいい。

 でもこのオチは余りにもあんまりだ、という向きにはコミック版をどうぞということになる訳で。って今となってはそれも難しいのか。

 1998年のDTエイトロンから時代が下って、2006年のゼーガペイン。人間のデータ化と生体への復元などの共通項があって、色々と見比べてしまったのだけれど、かなりタイプの異なる両作品の主人公が最後に選択するのは、どちらもデータとして生き永らえることを拒み、限られた時間を最後の瞬間まで、未来に繋がる現実と向き合って生きるということ。光溢れる海に想いを寄せたシュウもキョウも、その自分で考えて決めた生き方に決して後悔することはないのだろうと。──ならば自分はそんな風に生きられるのか。それを優しく、そして真っ直ぐ問い掛けた両作品に改めて拍手。

 しかしま、全滅エンドにすれば酷いと言われ、全滅回避してハッピーエンドにすればご都合主義だと言われるんだから、視聴者ってほんと自分が見たいようにしか見ないものなんだよなぁ。それが解釈の自由なんだけどさ。……でもやっぱ、ハッピーエンドが良いよね。どうせならね。主人公が納得するならどんなラストでもOKだけどね。深夜枠のDTエイトロンはこういう終わり方でこれはこれで良かったけど、夕方枠のゼーガはあぁいう終わり方で本当に良かった。


 それにしても、

 2年 : ゼーガペイン(オルムウイルス蔓延から量子サーバーへの避難完了まで)
 7日 : DTエイトロン(南極からの大洪水がデータニアに達するまで:計算日起点)
 4日 : ディアスポラ(ガンマ線バーストが到達するまで)
 1日 : ゼーガペイン(北極の大規模デフテラ領域サバトが地球を覆うまで:回避)
 2分 : 銀河ヒッチハイク・ガイド(銀河バイパス工事で地球が破壊されるまで)

 こうして見ると人類って結構あっさり絶滅するんだなぁ……。
 絵空事で済まされますように。

DTエイトロン#23-24@AT-X

●放映当時の感想リンク集
壊れた大人のマーチ:DTエイトロン「ヘブンズ フレンズ」
高森 千穂のページ:DTエイトロン 第26話 「ヘブンズ フレンズ」
文書指向2B:DTエイトロン #26
DTエイトロン最終回[Marine Sanctuary] その節はお世話になりましたー(^^

DTエイトロン(フジテレビ公式サイト)
カミラボ:DTエイトロン
カミラボ:ゼーガペイン

B00005GXMSDTエイトロン ― オリジナル・サウンドトラック
TVサントラ
ビクターエンタテインメント 1998-07-23

by G-Tools

|

« ゼーガペイン#26 十凍家の謎 | トップページ | 浅沼晋太郎さんすぺしゃる »

DTエイトロン」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/4985/12292655

この記事へのトラックバック一覧です: DTエイトロン#25-26@AT-X:

« ゼーガペイン#26 十凍家の謎 | トップページ | 浅沼晋太郎さんすぺしゃる »