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2007.10.27

bpm「ネバーランド☆A GO! GO!」つづき

 浅沼晋太郎さん作・演出・出演の、bpm「ネバーランド☆A GO! GO!」、公演終わってアップルパイも食べましたので今頃ですがネタバレありの感想。細部の記憶違いなどはご容赦。ネタバレなしはこちら。

 本文の前に小ネタ。「恐い」と「怖い」はどちらが妥当か。「恐い」は常用外の訓だし、字面だと「怖い」かなぁ。でも漢和辞典だと「こわがる」は「恐」の方だし、チラシのアオリが 「小劇団史上、最恐(叫)。」 なのでとりあえず「恐い」で。サントラ(音楽単体も面白い)の「VIVA! SCARY STORY」という文言が似合う舞台でした。

 山中の廃屋を訪れた怪しげなTVクルーは、台風のおかげで取材を中断してその廃屋に泊まることになる。別行動していたクルーとはなかなか合流できないまま、武藤はこの廃屋にまつわる逸話を語り始める。

 ──山中の小屋に集まってくる懐かしい面々。 「誰にも言っちゃ、だめだよ」 という言葉で集まった彼らは、15年前の秘密を共有していた。重い記憶が暗く影を落とす再会の中、彼らは本名を伏せて、15年前につけたあだ名で互いを呼び合うことになる。だがそこには部外者が二人含まれていた。既にこの世を去っていた二人の代わりのように。そして、未だに姿を見せない者が一人居た。

 15年前、学習塾のキャンプで同じ班だった彼らは、山中で雨に降られてこの小屋にやってきた。そこには塾長が居たのだが、不幸な事故が起きて彼らは塾長を殺めてしまった。同じ山中に居て猟銃で自殺した過激派の一団が塾長殺しの犯人とされ、事件の真相と塾長の持っていた4億円は闇の中に隠された。彼らもまた、キャンプのしおりを缶に入れて山中に埋めることで共有する秘密を胸の中に仕舞いこんだ。

 これはその塾長の金を分けるための再会。お金が絡めば、成人となった彼らの思惑も絡みあう。分け前を狙ってちょっと脅かすだけと仕組んだささやかな仕掛けは、仕掛けたはずの者の手を離れて、何者かの手によって暴走を始める。騙すつもりが騙されて、一人また一人とそれぞれのあだ名に因んだ見立て殺人が続いていく。真犯人は一体誰なのか、何処に居るのか。次に殺される者を知らせる文面はその場に居るものを嘲笑う。復讐と呼ぶにはあまりにもほんのささやかな恨み、でもそれで人を殺してしまえるのが子供の恐ろしさ。子供はネバーランドへ行けば良い、でも大人はどこへ行けばいいのだろうか。


 などという書き方をするとフツーのサスペンスに見えそーなのが歯痒いのですが、オチまで書いてしまうのは気が引けて。うわぁん良質のコメディホラー(?)なのになぁ(i_i) セットの感じも含めて 「お化け屋敷のような舞台」 というのが合ってるんだろうな。開演直前に小屋の玄関がひとりでに閉じたように見えたところから恐かった(^^;

 どこまでが虚構でどこまでが現実なのか、三重四重の仕掛けが施されているのが見事。筋だけでもきっちり魅せるものなのに、これでもかといわんばかりのネタの応酬で笑いっぱなしに恐がりっぱなし。恐いままで終わっちゃっても良かったのに、最後に綺麗にひっくり返してくれるから、後味が良くて爽快。この恐さは流してしまえる恐さで、面白いが勝ってくれるのはありがたい。

 役者とはある意味、人を喰って生きるもの。登場人物どころか観客も騙しとおした真犯人はまさに一番の役者。だが役者の生殺与奪の権を握っているのは脚本家だ。自分が脚本を書いているつもりだった役者は人を喰おうとして逆に喰われてしまい、人を喰いつくした役者は自分で書いた脚本の通りに惨劇の幕を閉じる。だがこの物語の真の語り手とは一体何者なのか。 →武藤(伊勢直弘さん)のナレだったそうです。すみません(_o_) 訂正多謝です>めがさん

 そう問うと、隣の席で芝居を見ていた彼女は首をかしげた。「でもあのナレ浅沼さんでしたよね」「いやそれはそうなんだけどさ、浅沼さんの役も含めて最後の一人以外全員死んでるじゃん(でないと美しくないよ)。彼から数年がかりで話を聞きだした突然の登場人物って一体誰なのよ、ってことでやっと仕掛けが分かった」

 ただ一人の生存者から話を聞いた人物から武藤が聞いてTVクルーに話したという流れにはできるのだけれどもさ。あのナレは浅沼さんでしたよね。良い声だーとか思って聴いてたし。

 おかしいとは思っていたのだ。矛盾があるというか辻褄が合わない箇所が。武藤は話の途中で誰と連絡を取り合っていたのか、そして合流できないクルーは何処にいるのかってのもずっと気になってたし。それらは綺麗に解決するように見えて、でも最後に残ったものが……恐いよ! でも面白いんだよ! 何にせよ笑うのと恐がるのとで忙しくて、観客が謎解きなどやっている暇はないというのは「クイックドロウ」の時と同じ。ものの見事に同じ船に乗せられて、あれよあれよという間に嵐の中を全速で駆け抜けるライブ感というのは舞台ならではのもので、それをこれだけの構成と演出で見せてしまうのは実にお見事。ほんっと2時間なんてあっという間でしたよ。再々演ということでしたが練り上げ方が半端じゃないですよ。そらーもう筋分かってて見直したらあれもこれもって感じだよなぁ……もう一度見たかった。

 とかって後になって書きながら思ってて、トートツにゼーガペイン前半のキョウちゃんの気分が今頃ようやく分かったような気がするのが、先月からのゼーガ祭りの余波なのだけれど。いやさ、視聴者って気楽だから『そこでもっと突っ込めよキョウちゃん』とかって思うんだけれども、本人は次から次へと波が来るばかりでそれどころじゃないのよ。という気分をこれでもかとばかりに味わったーとでもいうのか。キョウちゃんは視聴者が感情移入しやすいキャラだと思うし、ゼーガの振り回し方というのは物凄かったのだけれど、週1のTVアニメを次週まで色々考えつつ見てるのと、2時間で突っ走る舞台にわーっと乗っかるのとでは全然違うってことで。……やはり浅沼さんの脚本でのゼーガの舞台って切実に見てみたい。もうね、とんでもないものが見られると思うのですよ。この方の手にかかってしまうと。是非是非。って延々すみません。

 因みに自分が泣けた三箇所というのは、「かえるの財布」「皆が鉛筆で」「惨劇は幕を閉じ」のとこだったかな。1番目は同行のお二方とも頷いたもの。2番目はどういう訳か、3番目は……脚本家にしてやられたということで。

 ネタの山はとんでもないもので、とても書ききれないですよ。とにかく密度が凄かった。1本の芝居なのに豪華3本立てで見た気分。客席もほんと沸いてましたしね。音立てないように拍手したりとか。

 初回なので多少噛んでらしたかなーとは思いつつも役者さんの芝居も堪能。堀川りょうさんにはお約束のネタもちゃんとありましたし、こういう芝居をされるんだという新鮮な驚きが。何せガンオタには0083の「ニンジンいらないよ」の人なので。サントラのライナーにはちゃんと「夢戦士ウイングマン」も載ってて良かったですよ。当時から大好きでしたー! ゼーガ見ててついウイングマン思い出したりしてた自分にとっては夢の共演でした。
 猪狩敦子さんの破壊神小日向はお馴染みの印象で、一方アリスはこういうの見たかったなぁと思えたので良かったです。伊勢直弘さんbpm「MIME MIME "SYNDROME"」で惚れたのに伊勢さんだと分からなかったというか、完全に役の方で見ちゃってました。マジックすげー。あれは浅沼さん仕込みなんでしょうか。蜂須賀智隆さんは不消者(けされず)「好敵手あらわる!」でも好印象だったので再び見られて良かったです。

 浅沼さんについては先にも書きましたが、とにかく かわいかった んですよぅ(i_i) 泣く。もう思い出すと泣く。芝居は勿論のこと、ライトグリーンの半袖とごく細い白黒のボーダー長袖の重ね着にオーバーオールという衣装も可愛くて、ふわりと立ててる髪型がまた愛らしく。夏場からすると髪の色は少し明るくされてたかな。何だかお見掛けする度に髪型が違うような気が。

 カーテンコールの挨拶は座長ではなく伊勢さんが喋っておいででした。語り手が「(見直すと面白いので)また是非見てください」というのに、確か真犯人が「(後日には)犯人を変えるとか」と呟くので脚本家が「それは無理」とか小声で返してらしたのがおかし。つかその際の声音にもゾクゾクしてたのが浅沼スキーというものですよ。そういえば今回OPは映像なしでしたが、それぞれに一言ずつ喋っていくあの見せ方も恰好良いですよね。

 ということで12/18-24の「聖の夜」が楽しみでなりません。千秋楽がクリスマスイヴだという、「クイックドロウ」のスピンオフとのこと。今回残念ながら逃してしまわれた方は次こそ是非(^^) 逃した魚はクジラ級ですぜ! ←それ魚とちゃう。
 bpm公式にて前売開始してます。

 →bpm「ネバーランド☆A GO!GO!」追加公演決定 08/1/31-2/3@SPACE107
 →bpm「聖の夜」初日 見てきました!

【感想リンク集】

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コメント

ごめんなさい、初めてコメント致します。
私もこの作品好きでビデオも今回の公演も何回も見てるのですが、
後半で先生一人が残された後のナレーションって武藤(伊勢さん)の声ですよね?
浅沼さんの声では無かったと思います。
前回の再演も武藤の声でのナレーションでしたし。
差し出がましいようでしたらすみません。
気になってしまったもので。
この作品は本当に好きなのでもう舞台で観られないのは残念です。

投稿: めが | 2007.11.01 01:11

>めがさん はじめまして。
 ナレの件訂正ありがとうございます。筋からすると武藤が来るはずなんだけどなぁ、とは思っていたのですが、『分からない声にはとりあえず浅沼補正』という困った耳をしている模様でナチュラルに聞き違えたようです。伊勢さんと浅沼さんには陳謝いたします(_o_) まだまだ修行足りないんだなぁ(i_i) 他に勘違いしてる箇所があったら指摘してやっていただけると助かります(_o_)

 再演を望まれる方は本当に多いですし自分としても同意見です。もう一度見たいと思いつつ、残念ながら最初で最後のネバGOになってしまいました。「ネバーランドはどこにもないからネバーランドなのさ」ということなんだなと。それでもあまりにも鮮やかな緑が散りばめられたお化け屋敷の記憶を反芻しつつ、次の舞台を楽しみに待ちたいと思います(^^)

投稿: しののめ | 2007.11.01 01:27

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