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2007.10.29

劇場版Ζを今頃総括してみる

 ぐはーやっぱえぇわ新訳。ガンダム祭りのおかげでANIMAXでやってた劇場版 機動戦士Ζガンダムを3本全部見ちゃいましたよ。先にwowowで一挙放送やった時にも見ちゃったのに。六本木での一挙上映も見に行ったのに。DVD買って見直したのに。劇場にも通ったのに。公開前から見てたのに。それでも放送してれば見てしまうんだよなぁ。ANIMAXじゃノイズが入るしCMも入るしとか言いながら。──それだけ好きなんだよ。

 第1部「星を継ぐ者」はMS燃え+赤白萌えムービー。
 第2部「恋人たち」はカミーユ萌えムービー。何気に池脇サラにも萌え。
 第3部「星の鼓動は愛」は究極のカミーユ+Ζ燃えムービー。愛してる。

 ANIMAXでやってた「Dybbuk」仕様の予告編って劇場公開時にもやってたけど、今回のガンダム祭り版は映像がちゃんとDVD版になってるので編集し直してるんだなー。思わず録画しちゃったよ。「Dybbuk」大好きだ(^^) 当然ANIMAX見る前は「風林火山」見てました。恰好良いよGackt。


 で、何か第3部公開後に下書きしてた新訳総括編を今頃になってupしてみたり。一体どれだけ寝かせてたんだかというものですが、折角のガンダム祭り+第2部公開(051029)から丁度2執念もとい2周年なので。よく見たら第1部の東京ファンタ(041017)からもう3年過ぎたのか。

●総論~TV版からの解放はありえるのか
 TV版に魂を引かれている限り、新訳としての劇場版を素直に楽しむのは難しいと思います。完結に際しても、TV版と変えられているから嫌だと言われ、或いはTV版と違わないから期待外れだと言われ、どういう作り方をしても反発を受けるのがガンダムという作品の性なのでしょう。でもそういう「あるべき姿に対する期待」は、自分から新訳をつまらないものにしていることに気づいて欲しいのです。新訳という新たな世界を素直に受け止めること。それはあの物語の中で、主人公であるカミーユがしていることと同じ意味を持つのです。──ってね、そんな簡単なことじゃないんだけれど。

 20年前のTV版の旧画を交えた編集についても、第1部初見時には全編新作画にすればいいのにと思っていたのが、そのうちに第1部の旧画に落ち着きを覚えるようになり、第2部予告でホンコンでのキスシーンが旧画なのも、あれが自分にとっての「キスの記憶」だから良かったと思い、第3部を待つ頃には 「ここは旧画で残せ!」 と思うようになって実際残ってたら 「やった旧画だ!」 と喜ぶという有様。バイザー開けが旧画だったとか、旧画を残す意味も見出せるようになったので今回のやり方は肯定派。くどいようですが、全編新作画+オリジナルキャストの総集編が見たいのならPS版Ζを見れば良いのです。これはこれで良いものですから。

 あとどうしても気になったのは、劇場パンフレットなどで散見する「刻の涙」という言葉。これはあくまでTV版のキャッチコピーであって、第1話予告から「カミーユ・ビダンは刻の涙を見る」と言われて、延々その結末を暗示し続けたものでした。だから、結末を変える新訳では「刻の涙」など見られるはずはない。 なのにどうして劇場版に対して使われるのだろうと。つまりはライターがTV版に魂を引かれたままではないのかと思えてならないのですが、それはTV版に魂を引かれたままの受け手に対して送られるものでもあるのが、もどかしいところ。

 でもこうしたことを連ねてしまう自分が、誰よりもTV版に魂を引かれたままなのですよ。だから、TV版から完全に解き放たれている=新訳でΖに出会ったような人はまた違う感想を持つのは当然のことです。「ZGIIIを100席の映画館で上映したら」でも書きましたが、100人が一致する意見は一つとしてありえないのですから。

●映画としての出来:1>3>2
 第1部「星を継ぐ者」については、カミーユ視点での物語という点で起承転結はきっちり出来てると思うし(後半傍観者だけど)、ラストの盛り上がりも良い。1本目ということもあり、良くも悪くも爆発力は最高。

 第2部「恋人たち」については、恋人たちの数だけドラマが織り込まれていて、その合間に戦闘があるので、見所は多かったと思います。でもどうも「起承転結承承転」という感じになってしまうのは、3部作の2本目なので仕方ない部分はあるにせよ、惜しいところ。TV版の該当話数を見直すと、よくもこうまでまとめたものだと思います。でもやはりあの引きは凄い。

 第3部「星の鼓動は愛」の初見時、この3部作は「起承結」の3本立てという印象を受けました。本来第2部の後半、サラとハマーンという二人の女の登場が「転」に相当するのですが、サラには今ひとつ焦点を絞りきれず、ハマーンはインパクトしかないので、3部作全体の「転」としてはいささか弱く見えてしまうのです。でもこの劇場版はあくまでカミーユの物語なのだという視点で見れば、この二人の女との出会いはカミーユにとっては「転」以外の何物でもありません。3部作を通して(せめて第2部→第3部を連続で)見直せば印象が変わるかと。
 「結」としての第3部については、世間では様々な不満があるのは承知していますが、自分としてはカミーユがファを選んだのが嬉しいからあれで良し。「Love Letter」→「Dybbuk」に関しても問題なし。それどころかこれで最適解。

●メカアクション:3>1>2
 第1部での、新画を集中させて描いた戦闘シーンの格好良さの印象がずば抜けてしまっているので、第2部では戦闘シーン自体は多いのに、新画と旧画を組み合わせた部分で物足りなさを覚えてしまい。第3部は第2部と同じスタイルですが、作り手も受け手も慣れてきたこともあり、旧画を交えていてもたっぷり描かれたメカアクションを堪能できました。でもちょっと長い感じもあるので、旧画で流しているところを切り刻めばもっと良くなるだろうとも。しかし何といっても第3部はあのΖがしっかり主役メカとして格好良くて、その上必殺技まで出来て、変形にTV版とは違った意味が持たされたというところに拍手喝采。

【第1部】USBメモリまで作ってもらったアッシマーとUSBメモリはないがMG2.0が出たマーク2。
【第2部】ハマーン専用ガザCの評判が良いけど自分としてはレコアさんのメタスに惚れた。
【第3部】MG2.0が出たΖとMG出せば売れそうなハンブラビ、あとジ・Oってこんなに格好良かったのかと20年目で見直した。隠し腕サイコー!

●カミーユ萌えムービー:2>3>1
 飛田さんの神がかり的な演技によるカミーユの声がとにかく素晴らしい。そしてビバ尻アニメ。第3部は燃え>萌えなので、「萌え」としては第2部が上回るのです。とはいえ第2部はそれしかないって訳ではないんだけど。でも劇場版は徹頭徹尾カミーユのための作品なんだからそれでも良いじゃない。個人的にはカミーユとサラとファで振り回す第2部後半は大好き。第3部のサラは自分にはいささか物足りなかった。島村サラも悪くはないんだけど、池脇サラって何か癖になるんですよ。

【第1部】ジャブローでマーク2に戻るところのお尻と、アウドムラにハヤトが来たときのあの小動物のようなちょこまかみーゆが可愛い。
【第2部】だから全編これカミーユ萌えムービーだと。
【第3部】「痛かったぁ……!」とかグワダン脱出時にクワトロの腕に抱きついてるのとかはお約束。そしてカツに対する「何バカ言ってるんだ」と、その後のグワダンのデッキにカツが戻ってきたときの画面左上に流れるときのお尻。他にも山ほど萌えはあるがやっぱ燃えが勝ち。 「バカな娘がっ!」 の飛田さんの演技は最高。どさくさにまぎれて「汚い大人が!」とか「地獄に落ちるぞ!」とか言ってるのもTV版っぽくて良い。瞳の揺らめきなどの細かい動きも見逃せず、吐息の一つまで聞き逃せない、密度のあるカミーユの芝居はほんとに凄い。これでカミスキーはあと20年戦えます。TV版でさえ20年経ってもまだ新発見があるのだもの。飛田さんの少年声ってほんと素敵だから、またこういう芝居を聞かせていただきたいなと切に思います。
 20年目のカミーユで印象的な台詞の一つが 「ビームコンフューズ!」 ですよね。この必殺技の名前、実は絵コンテにもAR台本にもありませんでした。後日飛田さんに伺ったところ、アフレコ現場で当初は台本どおり「ならば!」だけで録音したものの、「これを入れてもう一度やってみて」と富野監督が仰って、やりなおして採用になったのだそうです。確かにあそこが無音だと間が空いちゃう感じはするけれど、そこで「ビームコンフューズ!」なんて思いつくあたり、富野監督は凄い。『はい?』などと戸惑われつつもばっちりヒーロー声で決めちゃう飛田さんも凄い。おかげで屈指の名場面になりましたとも(^Q^)

 さてこれらの3要素について、1位:3点、2位:2点、3位:1点として計算すると

【第1部】3+2+1=6点
【第2部】1+1+3=5点
【第3部】2+3+2=7点

 という感じ。一通り楽しめてしまった自分の気分としてはこんなものかとも。第2部の頃はΖヒストリカ真っ只中だったというのもありましたしね。

 一挙上映は何度か催されましたが、自分が見に行ったのは六本木でのオールナイト。上映前に、直前に亡くなられた鈴置さんへの弔辞があって手を合わせつつ涙。事前には「第2部で寝る人多いんだろうねー」とかって言ってたのに(ぉぃ!)、蓋を開けてみれば、自分では一番眠かったのは第1部でした。深夜で目が辛かったので旧画の部分は目を閉じるようにしていたら眠気に襲われたというものですが、ギャプラン+アッシマー戦からはばっちり目を開けて、EDで「ZGII」見て、第2部の予告編見たらテンションが跳ね上がりました。第2部・第3部とテンションは上がる一方で、終わった瞬間は 「もう一回通しで見直したい! 第3部だけでもっ!」 なんて口走ったほど。朝の空気は清々しくて、でも帰路の車中では睡魔には勝てず、朝ごはん食べた後は速攻寝てしまいましたが。
 wowowの一挙放送も同じような感じだったかなぁ。こちらは昼→夜だったけれど。今回のANIMAXは第2部・第3部を同じ日に見てたのでやっぱこの2本のテンションがやたら高かったです。第1部はこれはこれで好きなんだけれど、ここで終わってもいいやって感じの作りだからなぁ。

 因みにスクリーンで見た回数は周囲を見渡せば少ない方です。
 スクリーンの情報が今となっては一部発掘できないのが悔しいんですが、Q-AXシネマCINEMA1が一番好印象かなぁ。音も素晴らしかったし椅子がまた良かった。

【第1部】ミラノ座(東京ファンタ・041017)、松竹試写室(プレス試写会・050317)、丸の内ピカデリー1(プレミア試写会・050516)、新宿ジョイシネマ3(初日舞台挨拶4・050528)、松戸シネマサンシャイン3番館(050611)、ワーナーマイカルシネマズ市川妙典スクリーン2(050615)、チネチッタCINE6(050707)
【第2部】松竹試写室(プレス試写会・050818)、ミラノ座(東京ファンタ・051016)、朝日ホール(カップル試写会・051019)、シネ・リーブル池袋(初日舞台挨拶2・10/29)、新宿ジョイシネマ(初日舞台挨拶3・051029)、松戸シネマサンシャイン3番館(051113)、千葉京成ローザ(10)(051118)
【第3部】松竹試写室(プレス試写会・060214)、朝日ホール(プレミア試写会・060223)、MOVIXさいたまTheatre11(初日舞台挨拶5、6・060304)、Q-AXシネマCINEMA1(060316)、MOVIX亀有(060412)、Q-AXシネマCINEMA2(060414)
【一挙上映】TOHOシネマズ六本木ヒルズSCREEN7(060901)

 DVDでいつでも見られるし、CSでも見られるようになり。それでも家のTVで見てると、やっぱりスクリーンで見直したいよなぁと思います。劇場版なんだもの!(^Q^)

 今頃ではありますが、改めてこの作品に関わられた全ての方に賛辞と感謝を。
 劇場版Ζ祭りにお付き合いくださった皆様もほんとありがとうございました。

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コメント

通りすがりのZファンですが、むいむい星人さんの総括のうまさに感服しました。3部作最初見た正直ちょっとテレビシリーズとの違いに戸惑いを覚えましたが、今となってつい「ああ、やっぱりいい作品だったな」と言えましたね。

投稿: エニタ | 2007.10.30 21:24

>エニタさん はじめまして。
 嬉しいコメントをありがとうございます。お褒め戴き恐縮です。
 「いい作品だ」と言えたというのは、エニタさんにとっても作品にとっても作り手にとっても幸せなことですよね。
 これからもΖを愛していってあげてください(^^)

投稿: しののめ | 2007.10.31 00:42

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