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2010.03.11

off-Nibroll "Double START"

 off-Nibroll exibition "Double START" @深川東京モダン館へ行ってきました。会期延長で明日3/12(金)まで、10:00-20:00(入場無料)ですので、都合の付かれる方はどうぞ。特にゼーガペイン好きな方は是非に。

Nibroll (公式サイト)
 TOPに会場のUSTREAMあり。off-nibrollに作品紹介もあり。

 Nibroll(ニブロール)の名を知ったのは、2006年のゼーガペインにて。OPやEDで印象的な鳥や花のCGを担当されたのが、Nibroll の映像作家の高橋啓祐さんでした。
 Nibroll の主宰は振付家の矢内原美邦さん。先頃も横浜で公演がありました。舞踊系の舞台も好きな自分としては、いつか舞台を見たいとずっと思いつつ、なかなか叶わずにいるのが残念なところです。

 その Nibroll の活動が off の際、矢内原さんと高橋さんがお二人で活動されているユニットが今回の off-Nibroll。意外なことに、東京では初の個展とのことでした。

 行ったのは3/9。本来の会期最終日であり、この日までとなる展示があるということと、この日にワークショップがあるということもあり、冷たい雨の中の門前仲町へ。深川東京モダン館へは大江戸線側の6番出口からだとすぐです。

 入り口からすぐの階段をコーヒーの香りに誘われるように登ると、2階の展示室。

●身体のある風景(階段すぐ)
 確かこの写真もこのタイトルだったと思うのですが、こちらにあったのは単独のポートレート。ジャンプして空中に高く舞ったその瞬間を切り取った写真は、それが瞬間のものであるが故の独特の張り詰めた空気と、空中にあるが故の開放感の両方を閉じ込めていて面白く。

●チョコレート(階段すぐ)
 古びた写真と、添えられた文字。遠い遠い、繋がりの先にあった繋がり。
 写真の前には粘土で作られたハート型のチョコレート。
 それは失われた人々の心臓であり、写真をよく見るにはそれを踏むしかなく。
 頭を下げてそっと乗ると、自分の命もまた既にない命の上にあることを思い知るのです。
 写真の隣には映像作品。三人の舞う女性がチョコレートのように解けては人に戻って舞いを繰り返し。

●ブリリアント 【3/9にて展示終了】(1回目)
 無数の水滴が降り注ぐ様は、床に敷き詰められたパネルに反転して映り、さながら無数のうたかたが湧き上がるかのよう。降る水滴と湧くうたかたは見えないところで結ばれて。
 黒地に白い水滴の中に色が見えて、この単純な色彩はある意味あらゆる色を含んでいるのだと気付く。動体視力を試されているのかと思ったら、やはり水滴の中には様々なものの姿が映りこんでいました。
 ゆっくりと、ゆっくりと降ってゆく水滴。じんわりと、じんわりと浮き上がってゆくうたかた。やがて黒い静寂が訪れて、また一粒の水滴が落ちてきて、無数の真珠を思わせる水滴となって跳ねる。水滴は降りしきるだけでなく、こちらにも吹き付けてくる。スクリーンの映像を眺めているのに、激しい水の音は外の雨とシンクロするかのように響く。この水滴とうたかたの中に浸っていたい。そんな気持ちでずっと映像の中に居ました。

●ワークショップ
 「ブリリアント」を1周半見て、他のも見なくちゃと思って小部屋を出るとワークショップにお誘いいただきました。先の「チョコレート」の展示での、あのハート型のチョコレートを作ろうというもの。これが3/9に行われたのは、本来の最終日であるという以上に、65年前の3/10未明にこの深川を業火で焼いた東京大空襲の前日であるという意味を持つのです。

 展示室中央のふかふかのラグに上がりこませていただいて、紙粘土をハート型に抜いてゆく。軽い粘土はさくさくのふわふわ。薫り高い、深いお味のコーヒーも頂戴しつつハートを作ってゆく。心まで柔らかく軽くなるようなそんな時間。

 粘土をこねていたのは高橋さん。──そう、あの高橋さん! 内心えらく緊張しつつも、先に見た「ブリリアント」のお話などさせていただく。以前の展示では20mのスクリーンに映したそうで、子供達に大好評だったとか。そういうお話を伺うと自分まで嬉しくなるし、20mで見たかったなぁとも。完全にあの水滴の中に浸ってしまえそうで、想像しただけでうっとりします。

 高橋さんのお気遣いで話し掛けてくださるのがとてもありがたく、Nibroll の先の公演のお話などを伺いつつ、ハートはいくつも出来てゆく。10万個には、まだまだ遠いけれど。
 矢内原さんや高橋さんのお話がとても面白くて、いつまでも聞いていたいなと思っているうちに粘土を使い切ってしまい。型抜きに徹していた自分に、色をつけてみてはと高橋さんが言ってくださって、2つのハートに絵の具をつけさせていただきました。……が。自分には芸術的なセンスが皆無であると思い知らされて深く落ち込む(_ _;
 方や高橋さん達の見事さはさすが芸術家。本物とはこういうものかと、素敵なハートをいくつも目の当たりに出来たのは良い勉強になりました。いやほんと、楽しかったです!

矢内原美邦の毎日が万歳ブログ ≫ Blog Archive ≫ 展覧会in深川モダン館 矢内原さんの文章での当日の様子など。

 終了後、大原美術館での off-nibroll展『接触』の目録を頂戴しました。綺麗で丁寧な編集で、戴いてしまえただけでもありがたかったものですのに、こんな機会はないからとお願いして、高橋さんと矢内原さんにサインを戴いてしまいました! 本当にありがとうございました(_o_)


●ブリリアント(2回目)
 床のパネルに上がっても良いと言っていただけたので、パネルの上、スクリーンの目の前で見直してみました。ぞわぞわっと、湧き上がるうたかたに乗って何かが自分の中を駆け上がってゆく。プロジェクターの位置から見るのも良いけれど、これもまた、水滴に浸るには良いなぁと思わせていただけました。多謝。

 以下は展示室内のもので気になったもの。

●public=un+public(カウンターのモニタ)
 こちらは公式サイトの "off-nibroll" にも紹介あり。ゼーガでおなじみの、人が鳥になる映像はこちらがルーツ。とはいえ見所は当然それだけではなく、いくつも開いてゆく扉の小気味良さだとか、モノトーンながら硬質の色気のある映像をラグに座ってずーっと眺めていました。

●no direction(展示室中ほど右手のスクリーン)
 こちらは公式サイトの "media" にも紹介あり。ゼーガだとOPの花も勿論ですが、DVD第9巻のフルコーラスEDでむくむくっと生えてくる花々のモチーフは既にここにあり。帰宅後にフルコーラスED見直してやはりと思ったのだけれど、こちらでは朽ちてゆく緑も描かれていたのが印象的。緑や暖色の色使いが優しく。やはり、ラグに座って眺めていました。

●a world(展示室中ほど左手のスクリーン)
 上記の「no direction」の公式サイトの、世界地図みたいなのがこの "a world"。USTREAMでも映ってたりします。行き交う人々が世界を作り、それを崩してゆく。

●news(カウンター近くのモニタ)
 これだけは音声はヘッドフォンで聞く形。日常の風景と、非日常を告げるニュース。でもその組み合わせすら既に日常。

●a shadow(展示室中央の床)
 これは大原美術館では映像とダンスの組み合わせでの作品だったようですが、今回は映像のみなので作品名としては掲示されてなかったかと。地図や図面といったものが好きな自分はずーっとしゃがみこんで見ていても飽きませんでした。

●身体のある風景(展示室奥)
 対称になった写真の、左右あるいは上下で違う人の姿。写真なのに動きを見るようで、そしてどこか恐ろしさもあるようで。何だろうこのミテイルセカイヲシンジルナ感は。とか思ってしまったゼーガ脳でごめんなさい。

 あとスクリーンで映ってたのが「a room」かな? ちょっと作品名確認漏れ。団地の風景とか何か妙に印象に残るもの。「叫ぶ人たち」「a word」「parallel」もあったと思いますので見落とさずに。

 展示室をぐるっと作品が一巡する形、しかもその大半が映像作品。「news」以外の音声は常にどこかで混ざり合い、視野の端には別の動画がちらつくという環境。プロジェクタの前を横切ってしまえば、自分に映像が映り、そしてスクリーンには自分の影が映り込む。
 こう書くと一つの作品に集中できないんじゃないかと思われそうですが、案外そうではなく。却ってその混ざり方が面白いというのか、集中してれば排除できるものもあるしというのか。ふと、長野まゆみ「テレヴィジョン・シティ」を思い出すような、妙な心地好さがありました。

 随分長居してしまったのですが、最後にもう一度と「ブリリアント」の3回目。水滴とうたかたに浸ってからようやく展示室を後にしました。

 ◆

 off-Nibrollの活動は、振付家の矢内原さんと映像作家の高橋さんの手によるもの。ダンスとは肉体の言語であり、その動きは人はこんなにもしなやかなものなのかと感嘆すると同時に、肉体で表現されるものである以上は物理的な制約を負うものとも知る。それを映像として処理することで、表現は枷を外されて自由なものになる。
 人は形を変え、ありえない方向へと動き出し、舞い上がる。そして形を失っても、また色を得て踊り出す。それが面白いと思い、映像の中の自由はスクリーンをいつか飛び出してくるようにも思えると、不思議な感覚が体の中から湧き上がってくる。

 今回のこの展示が行われた深川東京モダン館は、関東大震災に疲れ果てた人たちの命を繋ぐ食事を提供するために生まれ、そして東京大空襲という戦災に傷ついた人たちに日常を取り戻すための仕事を提供するための施設となった過去を持つ。取り壊しの危機を乗り越えて改修され、現在はこの街の過去と現在とを紹介するための観光案内所と、未来を模索する展示室になった。この会場自体が「再生」を象徴するような建物なのだ。その場でこの off-Nibroll の個展 "Double START" が行われたということは偶然ではないのだろう。その出会いに自分が触れられたことに感謝したい。

 ◆

 もう明日で会期終了になってしまって、ご紹介が遅くなったのが申し訳ない限り。夜8時までやっているので、足を運べる方は是非どうぞ。

 今回ご無理な方は、間に合えばUSTREAMなどを。そしてまた別の機会にご覧になっていただければとも思います。次は是非「ネコロール」を見たいですよ「ネコロール」っ!


 ということで、セレブラントの皆さんによるレポート。おつかれさまでした!

ゼーガペインBD化応援サイト 管理人より:行ってきました!「off-Nibroll's exhibition “Double START”」!(10-02-14)【3/9更新】 やっぱ「ブリリアント」良いですよね!
2010-03-10 - 毎日がだばぁ : [ゼーガ][日記] Nibrollの個展に行ってきた&ゼーガまたしても大勝利?  こちらは「ブリリアント」終了後。残念!
みねちのボケ写真で見る深川東京モダン館「off-Nibroll 映像インスタレーション "Double START" 展」 - みねちんにっき 写真がふんだんに。楽しまれて良かったです(^^)


 今後というと、3/20-21に矢内原さん演出による「桜の園」の舞台があります。

東京文化発信プロジェクト | 桜の園 (要・事前申込)

原作      チェーホフ『桜の園』より
作・演出    矢内原美邦(ニブロール)
ドラマトゥルク 長島確(mmp)
コンセプト   佐藤慎也(日本大学)

日時      2010年3月20日(土)・21日(日)
会場      京王フローラルガーデン ANGE
        東京都調布市多摩川4-38 京王多摩川駅下車駅前
開演時間    14:00
        会場、開場時間などの詳細なご案内は、
        お申し込み者にe-mailでお知らせいたします。

 何でも野外での舞台だそうなので、これは是非行きたいなぁと思っています(^^)


【追記・深川東京モダン館について】

 旧東京市深川食堂という、昭和7年の震災復興事業による建物を改修したのが、深川東京モダン館。階段室を2階まで抜く大きな窓と丸い窓、階段に配されたあの時代ならではのタイルなど、名前の通りモダンな趣です。

 食堂という目的を果たすにはもっと簡単な建物でもコストを削れて良かったはず。なのに階段の吹き抜けの大窓を見ていると、「辛いことがあったからこそ明るく生きていこうよ」と言われているような、大らかささえ感じるのです。

 時間があれば、この階段や1階の観光案内所もどうぞ。3つの地図で時代を追って深川を紹介する展示など興味深かったです。観光案内所の方も、丁寧なご説明ありがとうございました。また是非街歩き参加してみたいです(^^)

深川東京モダン館 月曜休館
深川東京モダン館 喫茶部 2階のカフェのblog。営業についてはご確認ください。
深川東京モダン館(Twitter)
 3/10にこちらを覗くと、東京大空襲の記録がRTされていて、まるでリアルタイムのように流れてきたような錯覚が。お気遣いなどもとてもあたたかく、感謝しています。


 3/9の夜、深川は雪。戦火の記憶の甦る3/10を目前に、涙は凍ってしまったのかと思いつつ帰途に着きました。改めて、65年前の悲しい夜に哀悼の意を表します。

Nスペ「東京大空襲 60年目の被災地図」: むいむい星人の寝言 5年前のNスペの感想。

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コメント

私は結局これにいけなかったので、詳細なレビューが有難いです。
ワークショップも楽しそうですねぇ。

桜の園は私も観劇予定であります。

投稿: P太 | 2010.03.12 02:48

>P太さん ありがとうございます。
 ご報告が遅くなりましたが、こうしたお言葉を戴けるとありがたいです。
 いささか冗長に書きすぎたかとも思いますが、
 これでも言葉は削ったつもりです。
 またの機会がありますように。

 桜の園もご覧になられますように。楽しみですね(^^)
 

投稿: しののめ | 2010.03.12 12:43

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