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2010.11.22

bpm『ジッパー!』初日

 10/21-24に池袋あうるすぽっとにて公演されておりました、bpm『ジッパー!』(作・演出:浅沼晋太郎)の今頃初日の感想です。前売券完売ということもあり公演をご覧になれなかったけどDVDどうしようと思われている方には、以下のネタバレあり感想を読まずにとにかく予約しておけば間違いないですよと。そして次回のbpmは絶対逃さないようにね! お姉さんと約束だよ!

 舞台人としての浅沼さんに心底惚れこんでいるものの、最初に好きになったのは声。観劇に赴く中でも、声から入った自分はあくまで後進だという意識は常にあります。でもそうした「声優からの浅沼ファン」にとっては見られて幸せな舞台だったと思います。だから声からの浅沼ファンの人にこそ『ジッパー!』を見て欲しいとも思うのです。舞台人としての浅沼さんも、七色の声を操る浅沼さんもどちらも素敵ですよっと!

bpm10月公演『ジッパー!』 作品公式
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 入場してすぐ「舞台の裏側」であるセットを見て笑ってしまいました。セットを見ただけで笑えるという舞台はそうそうありません。おなじみの前説もとても愉快で、これは来場者特権ですね。bpmに限らず、舞台は早めに入場しておきましょう。前説の声が凄く気になったんですけれどやっぱりあ(以下略


●物語とキャラクター

 デパートの屋上のヒーローショー。その舞台裏では次々にトラブルが。ハラハラドキドキワクワクの連続で、涙が出たのは笑いすぎただけではなく。

 元々いわゆる特撮なりヒーローショーなりは好きなもので、お話は全編に渡って楽しめました。アクションショーのチームのリーダーを務める千葉や、年長者で知恵袋の俊さんの「こういう人居る」感がなんともリアルな造形で良かったです。

 尤も俊さんってやたら多才で本職は理科の先生というのは秘密だよ! と並べてみるとありえねぇとも思ってしまうんですけど。でもね、何かあぁいう人って居るなと思えてしまうのですよ。居て欲しいと思っているのかもしれませんが。最後にヘリの話をするあたりとか大体考えが読めてしまって『よしきたー!』と握った拳に力が入ります。

 千葉役で、赤を着るために生まれてきたようなイセナオさんには惚れ惚れします。千葉のキャラクターがとても良いんですけれど。千葉県民としてはイセナオさんの千葉を応援します。
 イセナオさんご自身は身長が、などと零しておいでですが、赤は寧ろ重心をちょっと低めに置いてどっしりと構えてセンターに立ち、長身の青とか緑が低めに構えて赤を立てる、という名乗りの構図が美しいものだと思うのです。5人での名乗りも含めてイセナオさんの赤は本当に恰好良かったですよ!
#というお話をラフカット2010の千秋楽にてイセナオさんに直にお話さしあげてしまい。その節はありがとうございました!

 新人で特撮オタクの新倉は他人とは思えません(^x^; パンフに掲載されていたtwitterのアカウントもフォローさせていただきましたが、このお方とは一度で良いから本気で絡みたい! と思って@差し上げたら返信いただけて有頂天でした。この場を借りて改めて御礼申し上げます。

 五十嵐のスーパーMCぶりも見事でした。超個人的に、ヒーローショーのMCに憧れていた時期がありつつも叶わぬ夢となったので、弾けるような明るさと伸びやかな肢体の五十嵐は見ていてとても気持ち良かったのです。

 そして鳴海。ショーの場面でも子供達に本物と思われ、七色の声を駆使する彼はある意味本物を超えた本物でした。とにかく素晴らしかったです。このチームが録音主体のパッケージショーばかりをやっていたのではなく、鳴海と五十嵐、裏で支える俊や新倉、そして千葉が居たからこそこの局面を切り抜けられたのであり。さすがです。レッドの「それ以上聞かないでくれ!」という台詞が忘れられません(^^;

 ブルーはクールに押さえて、グリーンはやんちゃ系(Gガンのサイ・サイシー風というと分かりやすい?)。そしてゼロ・ノワール様のお声も素敵でしたー! ゼロ・ノワール様は造形も好き。クールなマスクは科学戦隊ダイナマンのダークナイトとかの系譜。白髪交じりの俊さんのマスクなしのノワールは、いっそ半分仮面くらいにして舞台に出てカッコイイから! とか思ったけどこれは多分超電子バイオマンのプリンスとかの系譜。出渕裕スキー丸出しで脱線ご容赦。

 この『ジッパー!』は初演が2000年、再演が2003年で今回が7年ぶりの再々演だったそうですが、浅沼さんがこうした活躍をされていればこそ声のお仕事のお話が来たのも当然かとも思えて良かったです。
 千秋楽もご覧になった方から、鳴海の蹴りが良くなっていたと伺うとやはり2回見たかった!
 あとパンフで浅沼さんが自身の役に対してコメントされていた件、鳴海はバンドのメンバーとはギターで会話しているのではないかと。江渕の楽譜を買ったあたりからそう思えたりもして。皆でショーを乗り切ってこうしたやりとりがあるのが素敵でした。

 王・江渕・新倉のbpmアクション部3人の絡みはさすがでした。マイペースでどんどん他人を巻き込んでいく江渕も何とも言えない味があって。王ちゃんは、あぁこのピンクはやっぱりホウオウレンジャーだ! などと五星戦隊ダイレンジャー好きの血が騒ぎましたが、皆さん素晴らしい動きでした。

 えぇとドン・キャッシング様。思わず様付けで呼びたくなるドン・キャッシング様。その筋の方が『何だえぇひとやないか!』というのはお約束ではありつつも、小田井涼平さんの演技の良さが光ります。もうね。あの体格でね。舞台に出て行くのがですね。恰好良すぎてですね。なのに棒持って本気入った王ちゃんに追い詰められて、小窓から顔だけ出して「殺される」って言うのがね(^x^;
 ヒーローショーでやってはいけないことが続出したこのステージにあって、顔出しで出てしまったからにはと、終演後にマスクで顔隠したままあることをしようとするのがもう可笑しくて仕方なかったですよー! 北映さんもご利用は計画的に!

 TV番組でヒーローを演じる「本物」の直人と柿崎。彼らは本物の撮影現場を知るからこそ、デパートの屋上のショーをニセモノだと見てしまう。でも撮影現場だろうとショーの現場だろうと危険と隣り合わせだというのは同じだし、子供達の目の前で演じるショーはある意味テレビ越しよりも本物。それは鳴海の声を本物だと言われたことで証明されてしまう。自分こそが本物のはずだと思っていても、真剣さが通じて目の前にある本物に柿崎が先に気付く。直人は兄(千葉)との確執があればこそ足踏みをしてしまうのだけれど。このあたり、両方の舞台裏の話を見聞きして想像が出来るだけにもどかしい。
#柿崎役が谷桃子さんだというのは、もうこのお名前のまま出て行って良かったのではないかとも思えるほどのはまり方が見事。

 デパートの社員で自身の夢だったヒーローショーの企画を成功させようと無邪気に頑張る畠山を叱咤する千葉の叫びも本物だろうし、だからこそそれでも怪人役で出て行く畠山が居て。そして本物の赤を素面で演じる直人のラストのキックの恰好良いこと! あれは「舞台の裏側」から見ていても良かったけれど、表側から見ていた子供達には本物は凄いって思ったのだろうなと思えたり。ただ下手側で観劇されていた方は「見切れてしまった」と言われていて、こういう構図は難しいものだなぁとも。

 物語の主軸は千葉と直人の兄弟間の確執と葛藤で、この流れは分かりやすい。ただ側面に走る魚住の妊婦は記号としては分かるものの聊か不自然さを感じた面もあり。初日に拝見したのでこなれていなかったのかなとも思いましたが、初日としては全体の演技の完成度は高かったと思うので、ここだけが少し気になったところでした。DVDではどうなっているかなとも。

 ラスト、冒頭のデパートのアナウンスに、途中の五十嵐のアドリブが混ざって愉快なことに。見事なテンプレっぷりで「ゆけー(↓)たたかえー(↓)」とかが可笑しすぎたんですが、このお声がどなたかがパンフに載っていたのを見てああっ! とお声を上げてしまい。素晴らしかったです。

 あぁ浅沼さん作詞のエレメンジャーの主題歌を覚えるくらい通いたかったー(i_i)


●グッズとか

 お約束の赤い袋の福袋も楽しく。お約束のサイン色紙などオリジナルグッズ詰め合わせの他に沖縄名産まで入っているのがもう感服でした。塩味のちんすこうがおいしゅうございました。シーサーのストラップの金色の星は『ジッパー!』オリジナル仕様なのかなとも思えたり。ドン・キャッシング様のティッシュは早めにロビーへ出た人には配られてもいたようですが、これはお約束で良いですよねー(^^)
 福袋下げてるのに勢いでトレカまで求めてしまうあたり、来場者に存分に楽しんでもらおうという心意気はいつも心地良いものです。59種類とされていたと思いましたが60番は福袋の中に。往年の仮面ライダースナックのおまけっぽくて良いですよね。レッドグレン出たのが何だか嬉しかった(^^)

 パンフも毎度ながら読み応えがありました。涼平さんの絵入りコメントが何とも! 実は8/6の『サシノミ』に客席からゲストとしてステージに上がられていた涼平さんが、終演後ロビーでベンチのお隣に座られていてびっくりしたことがあり。うわーとか思いつつ会釈するのが精一杯で、『弁護士から好きだったんです電撃ホビーマガジンの連載も読んでました!』なんてとても言えるわけないじゃないですかでもやっぱり好きです! 誕生日2日違いですし!(それはいいから)


●ヒーローの舞台裏

 パンフではおなじみの用語集でセメントについて説明がなかったので、何故出てくるのか分からない人も居たかもと思って訊いてみたらやはり分かっておいででない方が。特撮に馴染んでいると俊さんが「花火とセメント」を指示したところでふきだしそうになってしまってすみませんでした。堪えます。

 セメントの使い方が分からない人は下記の東映の爆発色々解説をどうぞ。

Act.44 バックナンバー - 美少女戦士セーラームーン(東映公式)  まさか実写版セラムンがヒットするとは。


 あと自分がヒーローショーの知識を蓄えたのは多分アニメックとB-CLUBのおかげ。昔B-CLUBから出た後楽園ゆうえんち野外劇場の本が凄く良かったんですが、その改訂版が最近出ていたようです。……2冊?
 何が違うんだろうと思ったら、左が2009年版、右が2010年増補版とのこと。

スーパーヒーローショーヒストリー: ショッカーO野の戦闘報告

 ありがとうショッカーO野さん! 新宿NSビルのヒーローショーを見に行ってお話させていただいたのも随分昔の話になってしまったなぁ(^^;

4434131842東京ドームシティスーパーヒーローショーヒストリー
カゼット出版 2009-09

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4434145487東京ドームシティアトラクションズ スーパーヒーローショーヒストリー
カゼット出版 2010-06

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 そして浅沼さんが実際に書かれたヒーローショー(戦隊ではなくウルトラですが)がDVD化されているのでこちらも是非にご覧になっていただきたいなとも。親子で楽しむステージとしてはお手本のような脚本で、浅沼さんはタロウ教官役で声の出演もされています。このお声がまた良いのです。

ウルトラマンファンタジックライブ2007 (DVD) ネタバレ感想。
 
 それにしても『ジッパー!』公演中に発売された『四畳半神話大系』BD第三巻に「ヒーローショー同好会」が収録されているのは素晴らしき偶然である。責任者はどこか!

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 2006年のゼーガペインで浅沼さんと『ジッパー!』のことを知り、4年越しで観劇が叶って感激いたしました。名前だけは存じ上げている『ジップアップ!』もいつか再演されますように。ともかく、bpmの次の舞台を楽しみにしています(^-^)

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