ラフカット2010 千秋楽
今頃ですが10月の浅沼晋太郎さん脚本2本目 ラフカット 2010 (第四話 『"It's a smoke world"』 演出:伊勢直弘)の感想をさっくりと。公演間近の 東京俳優市場(11/25-28)と趣旨は近いのかなとも思います。
公式サイトに曰く;
「ラフカット」は、エネルギーをもて余している役者に、力試しの場を提供していこうというプロジェクトです。
ということで、そうしたオールオーディションによるキャストの「力試し」のための短編4本のオムニバス上映となります。特に統一テーマがあるのではなく、あくまで「目的」だけを同じとしたオムニバスは自分では初体験だったのでちょっと戸惑った面もありました。
●第一話 『第二の心臓』脚本・演出:堤泰之
昼間からなまぐさいなーというのが正直な印象。それが駄目だというのではないのだけれど、頭からそういう流れだったのと、千秋楽を見たのにまだ演技が出来てないような印象もあったのが余計に乗り切れなかったかも。ちゃんと笑える部分はありましたよ。
●第二話 『鳥葬』 脚本・演出:青木豪(グリング)
こちらの方が同じベクトルでもあっけらかんとしていて良い。亡くなったおじいちゃんの武勇伝、昔の人は凄かったというのは自分でも知っているけれど、あの世代だと戦争が引っ掛かってないのかなとか舞台に出てこない人のことが気になり。
本筋では『えっそっちに行くの?』という脚本の意外性は楽しめた。ただ、実在のゲームをそのまま引き合いに出してあぁいうコメントを入れてしまうのはどうかと思う。あくまでこの話の中で出てきているゲームの名前だけで説明すれば良いのに。ゲーム作ってる人もやってる人もゲームに対して真剣なんだと思いますし。
●第三話 『そんなもんなんだ』 作:本田誠人(ペテカン) 演出:堤泰之
なんというか「舞台」に対して持たれる最大公約数的な印象が。入口としては入りやすいものだし、両親役の芝居は好印象。第二話の次がこれだったから、いっそ「死人」をお題にしても良かったんじゃとか思ったり。ただ娘がチアリーダーをやっていたにしては、仲間として弔問に来る男性が応援団ぽくなくてちぐはぐに感じてしまったのだけれど。先入観を捨てて見るには時間が短いのか。
●第四話 『"It's a smoke world"』 脚本:浅沼晋太郎(bpm) 演出:伊勢直弘(bpm)
死人は出なかったが、スモークの中から焼け焦げた残骸が頭から登場。この導入には素直にびっくり。
「夢を見せる場でまさかのトラブルにどう対処するのか」という筋では直前の『ジッパー!』と通じるが、尺が短い分「暗黙の了解」を利用してすっきりと見せている。『ジッパー!』は長尺なので、王ちゃんへの説明を利用して初心者でも分かるようにしてあった。
もう一つ違うのは『ジッパー!』では子供はあくまで本物としてショーを見る。『smoke』では見る側も騙されるつもりでという共犯関係にある。この中間にある物語を見てみたい、とも思った。
さてこの企画にあって、要求仕様とはオーディションで選んだ役者の力を短編でどこまで引き出せるかというものだろう。その点で光ったのはやはり第四話のbpm組だった。元々の身贔屓を可能な限り排除しても、あれだけの人数が舞台に居ながらもそれぞれの個性が上手く引き出されていたと思う。第三話のように家族を盛り込むと難しくなるけれど、第四話では役名と役者の名前が一致させてあって、劇中でも何度も名前が呼ばれるので、キャラの名前=役者の名前が覚えられるようにしてあるのが上手いなと思った。個人的にプリンセス金井ちゃんが最高でした。
浅沼さんの脚本も見終わった後がすっきりしていて心地好いので、第四話に配してくださったのがありがたく。尤も第四話だと言い渡された側は大変だろうなーとも思ったもののきっちり面白かったです。
ロビーでイセナオさんにお会いできて、こういう脚本は演出していて楽しいとも仰っておいでで。舞台を作り上げるそれぞれが楽しいと思える。それはやはり良いものだと思ったのです。
勿論他の三話も、舞台演劇としてはそれぞれにあっていい脚本だし、こういうのもあるよねと知るのは大事。重いテーマを扱うストレートプレイを見るのも好きですし。一つの場でこうして見比べる機会は珍しいので、役者だけでなく脚本・演出家の力試しの場としても今後も続けていただきたいなと思いました。まる。
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